なぜ?図鑑 好き嫌いって、わがまま? 第2章/全9章
大人には平気でも、きみには苦いのはなぜ?
味への感じやすさには個人差があり、年齢や遺伝的な違いも関わります。さらに、香り・食感・食べた経験などが重なって好みになります。「大人が平気だから子どもも平気」「遺伝だから一生変わらない」のどちらにも単純化できません。
読む時間・対象・資料
この章だけで読み切れます(約12分)。前後の章は、右の一覧か記事の下から選べます。
この記事大人には平気でも、きみには苦いのはなぜ?
まず、ひとつわかろう
いちばん知りたいところから。
味への感じやすさには個人差があり、年齢や遺伝的な違いも関わります。
- 01一緒に食べても、口の中の実況は別々。
架空の親子、あおいさんとお父さん。
- 02143人の子どもと母親から、何がわかった?
2005年の研究では、特定の苦い物質への反応などを調べました。
- 03好みは変わることもある。でも、締め切りはない。
大人に「昔は嫌いだった料理」を聞くのは面白い探検。
大人が昔苦手だった料理を一つ聞く。
01・同じ皿、違う感じ方一緒に食べても、口の中の実況は別々。
架空の親子、あおいさんとお父さん。お父さんは「ほとんど苦くない」、あおいさんは「あとに苦さが残る」。まず、どちらかをうそつきにしないで考えよう。
研究から言えること/まだ言えないこと
特定の苦味への反応、遺伝子の違い、年齢などの関係。
すべての料理、将来の好み、克服できる方法までは決められない。
「私は平気」は、自分の感想
感想は大切な情報ですが、相手の口の中の測定結果ではありません。お父さんが平気なら、あおいさんも大丈夫という証明にはならないのです。「どの時に苦い?」と聞くと、飲み込んだ後に残る感じなど説明が増えます。
- 比べるのは勝ち負けではない
- 「そんなはずない」で閉じない
- 言葉にならない時は待つ
子どもは小さい大人ではない
研究では、子どもと大人で特定の苦味への反応や甘さの好みが異なることが示されています。ただし、年齢だけで全員の味覚は決まりません。子ども同士にも、大人同士にも違いがあります。
- 何歳で全部好きになるとはいえない
- 「大人の舌」が上の級ではない
- きょうだいも別の人として聞く
苦いだけが、野菜を断る理由とは限らない
「野菜が嫌い」という言葉でも、実際には葉が歯に残る、汁が出る、香りが強い、料理の中身が読めないなど理由が違うことがあります。一つの味覚研究だけで、その子の食事全部は説明できません。
- 味・香り・食感を分ける
- 痛みやむせも聞き落とさない
- 野菜という大きな箱だけで判断しない
02・研究の読み方143人の子どもと母親から、何がわかった?
2005年の研究では、特定の苦い物質への反応などを調べました。研究用の物質を家庭でなめる実験はしません。
調べたのは、特定の苦味への反応
研究者はTAS2R38という味の受け取りに関わる遺伝子の違いと、PROPという物質への反応を調べました。料理の人気投票ではありません。ピーマン、魚、牛乳の好き嫌いを全部一度に説明する試験ではない点が大切です。
- 調べた対象を先に読む
- 研究用試薬を入手・試食しない
- 家庭で遺伝子型を推定しない
遺伝子の違いだけでなく、年齢も関係した
特定の遺伝的な組み合わせでも、子どもと母親の反応には違いが見られました。「親子なら同じ」「同じ遺伝子の型なら同じ」とは言い切れない、という発見です。体の仕組みを知ると、気合だけの説明では足りないことが見えてきます。
- 関連があることと運命は違う
- 一つの食品への好き嫌いを診断しない
- 研究の数字を子どもの点数にしない
この研究だけでは、きみの未来は予言できない
日本の全児童を調べた研究ではなく、すべての味や料理を試したわけでもありません。長く食べられない理由の診断や、「この方法で克服できる」という治療効果も、この結果だけからは言えません。
- 人数・対象・測った物をセットで見る
- できたことと未解決を分ける
- 一人の体験談も全員への保証ではない
● 数字の探偵・小学高学年〜大人の寄り道
研究ニュースの見出し、どこまで言ってよい?
小さい子は「何人多い?」だけでも大丈夫。食べる量ではなく、料理の名前を覚えるゲームで考えます。
架空の練習データ・実際の研究結果ではありません
本サイトで子どもを集めた調査ではなく、写真の学習効果を示すデータでもありません。
写真つきメニューで、料理の名前を覚えやすくなる?
架空の40人をくじで20人ずつに分け、同じ時間だけ4つの料理の名前を学んだ、と考えます。違うのは写真の有無。翌日に同じ問題を出し、4問全部に正解した人数を比べます。
写真と名前を見た組
20人中12人・60%
全問正解ではなかった人:8人
名前だけを見た組
20人中8人・40%
全問正解ではなかった人:12人
この架空の例で見えた差は、4人。
さて、この結果を家族へ伝えるなら、どの見出しにする? 先に考えてから開こう。
この例では、写真のある組の全問正解が4人多かった
表の数字に合う言い方です。ただし、記憶を調べた架空の例であり、料理を好きになった人数ではありません。
写真があれば、どの子も料理を好きになる
そこまでは言えません。調べる設定にしたのは名前の問題の正解。好みや試食は調べていません。全員・全料理の結果でもありません。
60%だから、きみも必ず覚えられる
60%は、この例の20人中12人という割合です。一人の未来への保証ではありません。人数や条件、繰り返した時の結果も確認したい所です。
くじで分けても、少人数なら元の得意さに偏りが残るかもしれません。別の人・別の料理名・別の日でも似た結果になる? この図だけでは偶然の違いかどうかも決められません。
大人の寄り道:差の「20ポイント」と「50%」は、何が違う?
この架空の例では、60% − 40% = 20パーセントポイント。割合どうしの差です。一方、全問正解した人数を名前だけの組と比べると、4 ÷ 8 × 100 = 50%多い、という別の言い方もできます。
同じ数字でも、どこを基準にするかで大きく聞こえます。「何人中何人」「何と比べた差」を一緒に読むと、話をつかみやすくなります。どちらの表現も、実際の効果を確かめた数字ではありません。
03・好みと経験好みは変わることもある。でも、締め切りはない。
大人に「昔は嫌いだった料理」を聞くのは面白い探検。ただし、その話を子どもへ同じ道を歩かせる命令にはしません。
初めての料理には、わからないことが多い
どんな香りか、中に何があるか、かむとどうなるか。知らない料理には予想できない所があります。料理名や材料、作り方を先に知るのも学びです。食べる前の理解が増えても、必ず食べる契約にはしません。
- 材料を正直に伝える
- 写真や絵を見るだけでもよい
- アレルギーの確認は別に行う
再会できることと、回数をこなすことは違う
慣れる経験が役立つ場合はありますが、何回出せば必ず好きになるという期限ではありません。同じ食卓で何度も口へ運ぶノルマや、連日の挑戦表にすると、その子のつらさを見落とすかもしれません。
- 断れることを先に約束する
- 嫌がる理由を聞く
- 強い制限や不安が続く時は相談する
食文化の違いは、上手・下手ではない
家族の定番料理でも、別の家では初めてかもしれません。納豆の粘り、スパイスの香りなど、なじみの有無も会話の材料です。宗教や文化に基づいて食べないことを、克服すべき好き嫌いと扱わないでください。
- 名前や食べ方を説明してもらう
- 「変な食べ物」と呼ばない
- 食べない理由を無理に公表させない
今日の一歩家族の「昔と今」を、インタビューしよう
変わった人も、変わらない人も参加できます。
- 大人が昔苦手だった料理を一つ聞く。
- 今も苦手か、好きな調理法だけあるかを聞く。
- きっかけがわからない時は、わからないと記録する。
- 自分にも同じ変化を要求せず、違いを発見として残す。
苦味の試薬や強い刺激で味覚を調べません。食事の困りごとが健康・生活へ影響する時は、医療へ相談します。
親子で話す家族にも聞いてみたくなったら。
-
自分には平気でも、人にはつらいことは?
子ども味以外の音や服でも考える。
おとな感覚の違いを信じる例を話す。
-
研究の「まだわからない」はどこ?
子ども全員や全部の料理は調べていないと説明する。
おとな断言しないことも研究の強さだと添える。
-
変わらず好きな料理はある?
子ども理由も一つ伝える。
おとな苦手を直す話だけにしない。
よくある質問もう少し気になったら。
好き嫌いは遺伝で決まる?
遺伝的な違いが一部の味の感じ方に関わりますが、すべての好みが一つの遺伝子で固定されるわけではありません。経験や食品の特徴なども関わります。
苦いと感じるのは気のせい?
味への反応には実際に個人差があります。大人に平気でも、子どもの感じ方を否定できません。
きょうだいで違うのは、しつけの差?
しつけだけで説明できません。別々の体・経験・好みを持つ人として、それぞれに何が苦手か聞いてください。
遺伝子検査を受けた方がいい?
この学習のために検査は必要ありません。強い偏りや体調の困りごとは、家庭で遺伝子を推測せず医療へ相談しましょう。
出典この章を書くために読んだ資料。
- Genetic and environmental determinants of bitter perception and sweet preferencesMennella・Pepino・Reed/Pediatrics(2005年) 143人の子どもと母親を対象に、特定の苦味への反応と遺伝子・年齢の関係を調べた原著研究。日本の全児童や、野菜全般の好き嫌いへそのまま一般化しません。資料 ↗
- How do I help my picky eater try more healthy foods?米国小児科学会(AAP) 食卓の環境、慣れた食品も含む食事、食べ物を知る参加を確認。幼児期の傾向を全学年の期限にせず、繰り返す回数を達成ノルマにしません。資料 ↗
- Support for Avoidant Restrictive Food Intake Disorder (ARFID)英国NHS・CNTW 強い食事の制限による健康・生活への影響と、体重だけでは判断できない点を確認。本文は自己診断や家庭での治療手順ではありません。資料 ↗
資料の読み方について
公的機関・研究機関・専門団体の資料を優先しました。一般向けの学習記事で、専門家の監修は受けていません。個別の診断や指示ではありません。
おうちの方へ
いっしょに読むためのヒント。
感覚の違いを信じる例を話す。
自分には平気でも、人にはつらいことは?
次の一章。
- 1 舌・鼻・脳のチーム「おいしい」は、舌だけで作っているの?約9分
- 2 大人と子ども、同じ味?大人には平気でも、きみには苦いのはなぜ?約12分
- 3 トマトとケチャップのなぞ生のトマトは苦手なのに、ケチャップは好き。おかしい?約9分
- 4 苦手を伝える言葉辞典「苦手」を、どう言えば伝わる?約9分
- 5 けんかにしない食卓の会話食卓を、「あと一口」の勝負にしない方法は?約9分
- 6 好き嫌いとは別に相談する時「食べたくない」ではなく、「食べにくい」のかもしれない?約9分
- 7 サクサクは、耳でも感じる?サクサクは、口だけでなく耳でも感じている?約9分
- 8 給食・外食での伝え方給食や外食で困ったら、なんて言えばいい?約9分
- 9 料理で食感が変わるのはなぜ?ごはんはふっくら、野菜はやわらかく。料理の中で何が起きた?約9分